ミチイロ

私の偏愛vol.7◆笑顔と歌声でわたしの世界を照らし出す ももいろクローバーZ

約 7 分

わたしは「もののふ」である。

もの‐の‐ふ【武=士/物▽部】

1 武勇をもって主君に仕え、戦場で戦う人。武人。武者。兵 (つわもの) 。もののべ。
2 (「物部」と書く)古代、朝廷に仕えた文武の官人。

(小学館 デジタル大辞泉より引用)

 

「もののふ」という単語を聞いたことがある人は多いだろう。上記の引用を読むとわかるとおり、いわゆる武士のことである。

しかし、わたしは「武士」でも「物部」でもない。カタカナ表記の「モノノフ」なのである。

女だって女性アイドルが好き!


端的にいうと、「モノノフ」とは、女性アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のファンのこと。わたしはここ8年くらいずっとモノノフである。

ももいろクローバーZ、通称「ももクロ」について、全く知らない、聞いたこともない、という人は少ないと思う。どこかで曲を耳にし、なんとなく「色で分かれてる女の子たち」くらいの認識はあるのではないだろうか。

30歳を過ぎて女性アイドルにハマるとは思っていなかったけれど、モノノフになって人生はぐっと楽しくなった。

2019年現在、ももいろクローバーZは4人。
リーダーである百田夏菜子(赤/通称「かなこ」)、玉井詩織(黄/通称「しおりん」)、佐々木彩夏(ピンク/通称「あーりん」)、高城れに(紫/通称「れにちゃん」)で構成されている。

楽曲はアイドル然としたものから聴かせる系のしっとりしたものまでよりどりみどり。見せるダンスはキレッキレ。ライブでは一貫して「生歌」を貫き、プロンプター(アーティスト側に歌詞を表示させるモニター)も使わない。

全国を回るドームツアーなどでは、その日その日でセットリストが全部違う。全てのライブを観に行くような熱心なモノノフ達が飽きないように、という意図があるらしい。これを知った時にわたしは本当にびっくりしたし、「プロだ…!」と感銘を受けた。

また、横行するチケット転売問題への対策として、「顔認証システム」を日本で初めて導入したのはももクロである。運営側も「できるだけファンに寄り添った形でのライブを」と考えてくれているのだろう。非常にありがたく、頼もしい。

わたしとももクロとの出会い

ももクロ人気が徐々に出始めた2012年頃。「ももクロというアイドルグループのライブは抜群」という噂は聞いたことがあった。ただ、その時点ではあまり興味は沸かなかった。ちょうど長女が産まれてすぐで、アイドルにうつつを抜かす暇などなかったのである。

しかし、夫がなんとなく購入したももクロのライブDVD(『ももクロ春の一大事2012 〜横浜アリーナ まさかの2DAYS〜』)を、これまたなんとなく観たところ、育児で心身ともに疲弊したわたしのハートが狙い撃ちされてしまったのである。

画面の中のももクロは、一生懸命で、かわいくて、とにかくキラキラしていた。まぶしかった。キュンとした。

そこから、ももクロの情報を必死で追う…というより、わたしよりも熱狂的なモノノフがライブや新曲についての情報をわたしに提供してくれる日々が始まった。

そう、その熱狂的なモノノフこそ、我が夫である。

わたしの家族とももクロ

そもそもわたしがももクロと出会ったきっかけは、「夫がももクロのライブDVDを買ってきたこと」。夫がこのDVDを買った理由は「なんとなく」程度だったようだが、一緒に観たり聴いたりしているうちにすっかり夫婦でハマってしまった。

また、夫はギタリストの布袋寅泰さんのファンなのだが、ちょうどわたしたちがももクロにハマりかけていた2012年、なんとその布袋さんがももクロに楽曲提供をしたのだ(『サラバ、愛しき悲しみたちよ』)。運命を感じずにはいられない…!

そんなモノノフ夫婦には2人の娘がいる。物心ついたときから父と母がももクロの曲を歌ったりDVDを観たりしていたので、娘たちも当然ももクロが大好きで、ライブも一緒に行くほどだ。

そういえば長女が2~3歳の頃、交通ルールを確認すべく、信号を指さして「ねえ、赤は何だったっけ?」と長女に尋ねたことがある。その時長女は即座にこう答えた。

「かなこ!!」

我が子ながら立派なチビノフ(子どものモノノフ)である。

そんな長女は5歳の時、ネット配信されているももクロの子ども向け番組の収録に参加したことがある。「無理だろうけど一応」という気持ちで申し込んでおいたところ、忘れた頃に「当選しました、来週の火曜日、東京に来て下さい」という連絡がきた。

当然わたしが付き添う予定だったのだが、夫の「俺が行く俺が行く俺が俺が俺が」という激しい主張を退けられず、夫が付き添った。このことは今でも根に持っている。

また、娘たちのピアノ発表会で、『青春賦』という曲を長女と次女が歌った。伴奏はなんとわたし。義母がやっているピアノ教室の発表会なので、融通を利かせてもらえたのである。好き勝手しすぎたかな? とやや反省はしているものの、とても楽しかった。

このようにももクロは、冷蔵庫や洗濯機同様、我が家に欠かせないものとなっている。

病気とももクロ

2017年の秋、突然わたしは病気で倒れた。悪性の脳腫瘍だった。開頭手術を受け、その後も治療が続き、2ヵ月半ほど入院した。そんな時、ずっと聴いていたのがももクロの楽曲だった。

その年にリリースされた『Blast!』という曲は特にわたしを勇気づけてくれたし、ももクロのおかげで「今後も頑張ろう」という素直な気持ちで治療と向き合えた。ももクロはわたしの命の恩人でもあるのだ。

退院から2ヶ月ほど経ったころ、わたしたち一家はももクロのライブへ行った。ドームや競技場などの大きな会場ではなく、小さめのホールで行われる珍しいライブだった。そして席はまさかのセンターブロック4列目(1列目は開放されていなかったので実質3列目)!

夏菜子(赤)は、そんな至近距離からわたしの目を見て微笑んで手を振ってくれた。あの太陽みたいな笑顔を私に向けてくれたのだ。とにかく素敵だった。可愛かった。好きに拍車がかかりすぎて心が大変なことになった。あの笑顔のおかげで、わたしの脳腫瘍細胞はかなりの数が消滅したはずである。

目指すはモノノフばあさん


「アイドルは成長を楽しむもの」などと言われることがある。成長が止まってしまったらファンは少しずつ飽き、離れていく、とも。

デビュー直後はまだ可愛らしいティーンエイジャーだったももクロのメンバー達も、今や最年少の佐々木(ピンク)が23歳。立派な大人の女性の集団になった。

この年代になると、あどけない少女が大人の女性に変化するような肉体的な成長はもうほぼ見込めないだろう。しかし、映画や舞台、ミュージカルなどに挑戦し続ける彼女たちは常に成長している。いや、成長というよりも「進化」し続けているのだ。そしてその進化を応援するのが何よりも楽しい。

「おばあちゃんになってもももクロをやっていたい」という彼女たちの言葉に、わたしはずっと励まされ続けている。病気になんか負けず、わたしも「モノノフばあさん」を目指すつもりだ。

ももいろクローバーZ入門

「ももクロ気になる…でもどれを聴いたり観たりしたらいいかわからない」という人のために、個人的なおすすめを3点ピックアップ。正直おすすめだらけなので、絞るのが大変だった。気になるものがあったらぜひ手に取ってみて欲しい。そしてわたしと語って欲しい。

はじめてのももクロ(DVD)

デビューから約7年の軌跡を辿ったドキュメンタリー。
路上ライブ、メンバーの脱退、グループ名変更、紅白出場決定、女性グループ初の国立競技場コンサートなど、彼女たちの頑張りをすぐそばで応援しているような気持ちになる。これを見てももクロを好きにならない人はいないはず。

はじめてのももクロ-完全版-初心者edition DVD

バトルアンドロマンス(CD)

わたしが初めて聴いたアルバム。アルバムは多く出ているけど、比較的とっつきやすいのはこれだと思う。メジャーデビューシングル『行くぜっ!怪盗少女』も収録。

バトル アンド ロマンス

ももクロ春の一大事2014 国立競技場大会~NEVER ENDING ADVENTURE 夢の向こうへ~(DVD)

2014年、女性グループで初めて国立競技場(改修前)でライブを行ったももクロ。『ピンキージョーンズ』の歌詞がこのライブでだけ一部分変えられているが、その箇所を聴くたびに私は泣きそうになる。

「ももクロ春の一大事2014 国立競技場大会~NEVER ENDING ADVENTURE 夢の向こうへ~」Day1/Day2 LIVE DVD BOX 【初回限定版】

執筆・撮影:鞠ようこ(@mar_cat14
編集:卯岡若菜(@yotsubakuma

Comments & Trackbacks

  • Comments ( 2 )
  • Trackbacks ( 0 )
  1. はじめまして。
    記事を読んでバトル アンド ロマンスを買おうとクリックしたらプライム特典に入っていてちょっと微妙な気持ちになってます。
    ブルーレイは出ていませんか?できればDVDよかブルーレイが良くて。
    あと、顔認証の話はここで初めて知りました。ありがとう。

    • コメントありがとうございます。
      「バトルアンドロマンス」に関しては、動画コンテンツではなく音源コンテンツのため、CDまたはMP3、プライム会員用のストリーミングとなります。残りの2商品はDVDとなるため、リンク先にてBlu-rayの選択も可能です。

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