ミチイロ

私の偏愛 vol.1◆都市部のヒーリングスポット、サウナ×岩盤浴

約 8 分

温泉を愛している。源泉かけ流しが好ましい。露天風呂があると最高だ。深夜に星を眺めながら湯に浸かるのも、早朝にみずみずしい空気を吸いながら朝風呂をキメるのも、どちらも甲乙つけがたい。日帰り温泉も、上げ膳据え膳を堪能できる温泉旅館も、どちらも好きだ。

温泉旅行が家族旅行になりがちな家庭で育ったからか、今でも旅に行くなら温泉に入れるところに行きたいと思ってしまう。温泉街の雰囲気も好きで、昭和感溢れるパチンコゲームができるお店だとか、温泉饅頭を蒸かす湯気が漂う店先だとかを、動きづらい浴衣と下駄で覗くのが楽しい。

温泉

温泉を好んでいた子どもは、成長後にサウナと岩盤浴をこよなく愛するようになった。

はじめてサウナに入ったのは中学時代だ。両親に連れられて行った日帰り温泉にあったサウナに入り、それ以来サウナがあれば必ず入っている。

高校の修学旅行では、ひとりサウナに入っていたわたしを友達が見失い、あわや行方不明扱いにされそうになったこともある。夜も朝も温泉に入るわたしに対し、友達は「どんだけ温泉好きなん」と呆れたように笑っていた。ちなみに、修学旅行先は東北。当時は「なぜ北海道ではないのか」と内心不満もあったのだが、今思えば天国だった。

ドライサウナもミストサウナも好きだ。さらに、2年前から岩盤浴が加わった。岩盤浴は遠赤外線によるじんわりとした暑さなので、攻撃的な熱さが売りのサウナが苦手な人でも楽しめる。

男女が分かれていない岩盤浴も多いから、デートを楽しんでいるカップルも多い。相手との関係性が、汗だくの顔を晒してもいいレベルに達していなければならないけれども、そこさえクリアできれば楽しいだろうな、と思う。わたしはもっぱらおひとり様だが。

前書きが長くなった。今日は、わたしが偏愛しているサウナと岩盤浴の話をする。

覚醒と無意識の狭間で、思考はあてのない旅をする

温泉

サウナも岩盤浴も、ここ数年「好きだ」と公言する人が増えたように思う。「サウナイキタイ※」というサイトもあるし、Twitterで「整った」とツイートしている人も多く見かける。

サウナに至っては、「何を好き好んでダラダラ汗をかくんだ」と思う人もいるのだろう。さらに、サウナのあとに入る水風呂の存在。まあ、意味がわからないよね。苦行ですか。ドMなんですか──なんて訊かれたこともあるとかないとか。

いや、でもね、水風呂に浸かっているときの、じわーっと身体の中身が中心に集まってくる感じ、気持ちいいんですよ。騙されたと思って、サウナ→水風呂→サウナ→水風呂と繰り返してみてほしい。だんだん感覚が変わっていくから。

サウナに入りはじめた中高時代は、「汗をかくのが気持ちいい」のが入る理由だった。わたしは運動不足な万年文化部人間なこともあってか、あまり汗をかかない。夏場でもダラダラかくことはなく、じんわりと肌が湿る程度だ。

毒素が排出されているのかいないのかはさておき、「汗を気持ちよくかける」のが気に入った。あと、家族や友達と行ったときには、サウナ室内で会話も楽しめる。これが、案外心地いい。

温泉

2年前にまんまとハマった岩盤浴は、サウナよりも楽なのに、サウナよりも汗をかけるのが気に入っている理由だ。(あくまでわたし個人の場合は、だが)

岩や砂利の上にタオルを敷いて、腹ばいになり仰向けになり過ごすこと1回約15分。うつらうつらしたり、考えごとをしたりするのにちょうどいい。(熟睡は危険です、念のため)

岩の上に横になっている時間に思い浮かんだネタで、小説を書いたこともある。岩盤浴のクールダウン中にスマートフォンにメモをして、再び岩盤浴へ入ることを繰り返すのだ。覚醒と無意識との狭間にいるからなのか、思考がふわふわと思いもよらぬところに辿り着くことがあって、その感覚にやみつきになる。

身体だけじゃなく、頭と心もすっきりする。中にはスマートフォンはおろか本も持ち込めないから、かえって思考が働くのかもしれない。

サウナ・岩盤浴はわたしのヒーリングスポットだ

温泉

わたしは、何か効能を期待してサウナや岩盤浴に行っているわけではない。単に好きだから行っているだけだ。根性を試したいわけでもない。身体にいいことでも、自分がつらければ続けられない。良薬は口に苦しというけれど、受け入れられないくらい苦い良薬は飲めない人間なのだ。

ただ、そんな「ただ好きだから」通っているサウナや岩盤浴の効果を実感する体験もしている。

つい最近は、右肩と首筋が凝りすぎて痛くて曲げられなくなりそうな寸前で、温泉・サウナ・岩盤浴のトリプルパンチをかましてみた。すると、痛みが軽減して曲げられるようになったのだ。ちょっとこれにはびっくりした。

わたしは温泉に一通り浸かったあとにサウナと水風呂の交互浴を行うのだけれど、3巡目くらいには首の痛みが軽くなりはじめ、少しずつ曲げられるようになっていった。なお、その後マッサージも鍼治療も受けることなく、セルフストレッチだけで回復したのだ。すごい。

あとは、肌のコンディションだ。ほっぺたがもちもちすべすべになる。化粧ノリも格段に良くなる。まあ、わたしは温泉も同時に入っているので、「本当にサウナや岩盤浴のおかげなのか」と問われると「……も、あると思う」と言わざるを得ないのだけれど。

身体と思考の淀みを流す、至福の時間

温泉

サウナ好きの人は、よくサウナ後の変化を「整った」と表現する。わたしはというと、整ったというよりも詰まりを流したという感覚が近い。身体だけではなく、頭も、心も。

血流の改善はサウナや岩盤浴で謳われている効果だが、血流だけではなく、頭や心のなかに溜まっている古いものや淀んでいたものも流してくれているのかもしれない。

ちなみに、今わたしがこれを書いている場所は、岩盤浴のクールダウン中に過ごす癒し処だ。ここには、マンガが満喫並みにあったり、半個室の寝転がれるスペースもある。天国。

なお、このスパ施設には今日初めてやってきたのだけれど、岩盤浴でフィンランドで行われているサウナのひとつ、ロウリュウを初体験してきた。こちらはエンタメ性があってまたハマりそうな予感なのだけれど、詳しくはまた別の機会に。

偏愛サウナ×岩盤浴スポット

何度か行っているところ、今後通うであろうところを3ヵ所ピックアップ。他にもあちこち出向いています。

前野原温泉さやの湯処(東京都)

住所:東京都板橋区前野町3丁目41番1号
温泉営業時間:10:00〜25:00(最終入館受付24:00)
岩盤浴営業時間:10:00〜24:30
温泉料金:平日 870円 土日祝 1,100円
岩盤浴料金:720円(岩盤浴着、岩盤用大判タオル付き)

源泉かけ流し、炭酸泉あり。有料貸切風呂もある。サウナはドライサウナとスチームサウナ。スチームサウナでは塩サウナもできる。

岩盤浴は温度の違う夏・秋の2種類。クールダウン用の冬とごろ寝ができる春もある。
岩盤浴スペースに給水機があるので、水分補給も思う存分できる。意外とありがたい。

前野原温泉さやの湯処

スパロイヤル川口(埼玉県川口市)

住所:埼玉県川口市朝日3丁目13番27号
温泉営業時間:平日 9:00~25:00(最終受付 24:00、土日祝は6:00開店)
岩盤浴営業時間:平日 9:00~24:30(最終受付 23:30、土日祝は6:00開店)
温泉料金:平日 850円 土日祝 950円
岩盤浴料金:平日 650円 土日祝 750円(岩盤浴着、岩盤用大判タオル付き)

源泉かけ流し天然温泉、炭酸泉あり。サウナは屋内のタワーサウナと露天風呂エリアの漢方薬草塩サウナの2種類。塩サウナでは泥パックもできる。お気に入り。

岩盤浴は女性専用エリアと男女兼用エリアの2ゾーンあり、異なる岩が楽しめる。男女兼用エリアには温度が高いエリアも。なお、女性専用エリアでは岩盤ヨガも開催されている。(行ったことはない)

水は持参するか購入が必要。塩分補給用の小粒梅干しが置いてある。岩盤浴エリアには無料で使えるマッサージチェアもある。

スパロイヤル川口

天然温泉 七福の湯 戸田店(埼玉県戸田市)

住所:東京都板橋区前野町3丁目41番1号
温泉営業時間:9:00~25:00(最終入場24:30)
岩盤浴営業時間:9:00~24:00(最終入場23:00)
温泉料金:平日 870円 土日祝 920円
岩盤浴料金:平日 670円 土日祝 720円(岩盤浴着、岩盤用大判タオル付き)

屋内温泉にサウナが、露天風呂エリアに塩サウナがある。天然温泉、炭酸泉の他、薬湯も。
「チムジルバン」が岩盤浴のこと。「火」「空」「土」の3種類の岩盤浴と、クールダウンできる「空」、ロウリュウ体験が行われる「狼龍灼熱童夢(ロウリュウしゃくねつドーム)」がある。

岩盤浴エリアにはリラックスチェアコーナーや雑魚寝コーナーの他、半個室の「“楽”の癒」コーナーも。マンガは4,000冊も。天国。ロウリュウ体験は岩盤浴の他、男女温泉内サウナでも行われている。

水は持参か購入が必要。ペットボトル飲料を冷やしておける冷蔵庫の他、個別に管理できる鍵付き冷蔵ゾーンもある。

なお、戸田店の他、前橋店、上越店もある。

天然温泉 七福の湯 戸田店

サウナイキタイ…日本最大のサウナ検索サイト。クチコミも見られる。お近くのサウナ探しにどうぞ。

About The Author

卯岡若菜
1987年生まれのフリーライター。大学中退後、フルタイムバイトを経て結婚、妊娠出産。2児の母となる。子育てをしながら働ける仕事を転々とし、ライターとしての仕事を開始。生き方・働き方に興味関心を寄せている。
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