多様性。ジェンダーレス。個の時代。
結婚し、子どもを産み育てることが「女の幸せ」だとされていた時代から考えると、ずいぶん自由な時代になった。
だけど、その自由さが、時に苦しい。
誰かに「いいね」と言われないと、自分で「いいよ」と肯定できない。
いいと思っていても、言い切れるほど自信が持てない。自分と異なる生き方をしているひとたちの姿が、時にまぶしすぎてしまうことがある。
隣の芝生は、いつだって青い。
結婚を、するかしないか。
誰と生きていきたいのか。
子どもを産み育てたいのか。また、願い通り授かれるのかどうか。
答えは、ない。明日はいつだって不透明だ。
選ばなかった道は、「if」として残りつづける。
“選ばなかったわたし”は時折すがたを現して、わたしのことを惑わせる。あっちが正解だったかもしれないなんて、思いたくはないのだけれど。
娘として、妻として、母として。
どれもが自分の一部分。
全部が自分の思い通りになるなんて、そんなことはない。
だけど、たった一度きりの人生、「自分で決めた」と思える生き方をしたい。
満足は、しなくてもいい。だけど、納得はしていたい。
進む道の色は、自分で決めて塗るんだ。
たとえ未知の色だって、わたしが愛せる色がいい。
ねえ、これが、わたしの生き方。 あなたの道は、何色ですか?
illustration:Chiiko Matsuoka